◎風邪をひきやすい

 風邪はヴァータやカファの乱れによって起きます。まず、冬は寒く乾燥する季節であり、ヴァータを増大させます。関節が痛くなったり、寒気がします。また、寒さのあまり厚着をして、動かずにこたつでじっとし、食べる量が多くなるとカファが蓄積されてきます。すると、鼻炎、気管支炎などの症状が出やすくなります。鼻腔内の灼熱感、乾いたくしゃみなどは、ピッタの乱れになります。

 【対処法】

 ヴァータは、他のドーシャを導く一番大きな役割のあるドーシャですので、まずはヴァータを鎮めます。

   ①休息をとる  ②体を温める  ③軽い食事をし、胃腸を休める

 ●ターメリック入りのホットミルク…ターメリック(抗菌作用、抗炎症作用、抗酸化作用、肝保護作用)

 ●ターメリック足湯…ターメリック(精油成分が血管を拡張させ足を温めます)


◎咳・痰がでる

 これらの症状は、カファの乱れに起因するものです。カファを鎮めるには、甘味や塩味のあるもの、また油が多い食品は控えましょう。これらは、粘液を増やす原因になります。痰の色が黄色味がかったていると、感染や炎症が悪化している状態で、ピッタが増大したことになります。アーマ(毒素)が蓄積すると、痰は粘っこく、濃いものになります。

 【対処法】

 風邪の治療とほぼ同じですが、長引くようであれば、肺がんや肺結核なども考えられるので、医師を受診してください。

 ●生姜+はちみつ+レモン…生姜はカファとヴァータを減らします。はちみつは、甘いのですが虚痰作用をもっています。レモンは、消化の火(アグニ)を活発にします。

 ●ターメリックうがい…ターメリック(抗炎症作用、抗菌作用)


◎花粉症・鼻炎

 春の花粉症。それは、寒い冬の間に蓄積されたカファが、春の暖かさと同時に溶け出し、体のいたるところで分泌が増加します。よって、くしゃみや鼻水、涙目などのカファの乱れによる症状がでてきます。

 【対処法】

  春の鼻炎に対して、冬の間からカファを溜めないような生活を心がけます。①体を冷やさない ②食べ物に注意する(甘味、塩味、脂っこい高カロリーの食事は控え、消化に良い温性のものを摂ります) ③浄化療法、運動の施行

  ●辛味、渋味、苦味はカファを減少させる

  ●シナモン、ターメリック、チリなどのスパイスは体を温める温性のスパイス

  ●冷たい食べ物、甘味、塩味や油性のものは、粘液を増加させます。


◎頭痛

 緊張や不安、冷えなどからくる頭が割れるようなキーンとする頭痛はヴァータ性頭痛。頭や体が重くズシーンとくる鈍痛はカファ性の頭痛、ズキズキとする偏頭痛や熱い感じがするのは、ピッタ性の頭痛といえます。

 【対処法】

  それぞれのドーシャの乱れを鎮静させます。

 ●ヴァータ…頭を冷やさないように温かくする。頭部や足の裏をオイルマッサージする。

 ●ピッタ…冷ました白湯をたくさん飲む。ターメリック、コリアンダーティーを飲んだり、嗽をする。

 ●カファ…散歩をしたし、ヨガのポーズをとったりする軽い運動をする。

  上記の対処法以前に、バランスの取れた食生活や、適度な運動、充分な睡眠などの生活全般が大切になります。消化の火(アグニ)が弱くなっているので、食事は消化の良いものや、白湯、生姜などをとり、消化を促します。


◎便秘

 排便は健康のバロメーター。アーユルヴェーダでは、いかに速やかにアーマ(老廃物)を排出するかということ説いています。便秘の背景には、精神的ストレスによってヴァータが乱れ、腸内が乾燥します。また、カファの乱れから来る便秘には、運動不足が起因されています。

 【対処法】  

  ヴァータとカファの乱れを鎮静させます。

 ●温かい牛乳とギーを一緒に寝る前に摂る。生姜をプラスするともっと良い。(ヴァータの鎮静化)

 ●腹部を「の」の字にマッサージ。

 ●温野菜の摂取。(生野菜のサラダは体を冷やすのヴァータ、カファを悪化させます)

 ●程度な運動


◎二日酔い

 アルコールを肝臓の自己代謝能力以上に摂ってしまうことで、分解しきれず体に残っていまい、症状が出てきます。アーユルヴェーダ的にいえば、お酒により体内のピッタが増大して、アグニ(消化の火)が働かなくなった状態をいいます。

 【対処法】

 ●ターメリックの辛味や、梅干の酸味と醤油の塩味でアグニを調整する。

 ●ターメリックの苦味や、番茶の苦味はピッタを冷ます。

 ●ターメリックは、胆汁の分泌の活発にしアルコール分解を助ける。また、胃腸の調子も整えます。但し、鉄吸収を妨げるので、長期にわたって多量に摂るのはやめましょう。


◎更年期要害

 アーユルヴェーダでの更年期は、①ヴァータ性更年期障害(気分の変動、皮膚や粘膜の乾燥 便秘 下痢 不眠 不安 性欲減退など)②ピッタ性更年期障害(怒り 敏感、短気 顔面紅潮 出血過多 皮膚病など)③カファ性更年期障害(重い感じ やる気が起きない 眠気 体重増加 肥満 むくみ 中性脂肪やコレステロールの高値など)の3つに分類できます。

 【対処法】

 ●ヴァータやその他のドーシャをバランスさせる生活を行う。

 ●サフランは、婦人科系に効果のあるスパイス。

 ●女性でなくなるという喪失感によって、心のドーシャが乱れやすくなります。年をとるということは、魂の成長の過程だといいます。更年期を肯定的に捉えるようにしましよう。


◎美肌

 皮膚は、触覚を司る神経器官としてヴァータの多い臓器です。また、皮膚の輝きを維持するのは、ピッタの働きになるので、ヴァータとピッタの働きのバランスが大切になります。油性で滑らか、軟らかく、薄く、光沢があってキラキラ輝いていて、小さく深い毛包をもつ体毛が生えている皮膚が健康であるといいます。

 【対処法】

 ●ヴァータ体質・・・乾燥しやすく粗い皮膚をしていますので、ゴマ油によるマッサージが最適です。

 ●ピッタ体質・・・薄くて温かく、黄赤色で汗が多く体臭も強い皮膚です。牛乳、クリーム、またはギーに混ぜて作った軟膏を塗布します。

 ●カファ体質・・・冷たく、滑らかで、脂っこいヌルヌルとし、肌の色も白いので、サフランやターメリックなどを粉末にして、皮膚を摩擦すると良いとされています。

 ●ターメリッククリーム・・・ターメリックは特に皮膚によいハーブとされています。含有成分であるクルクミンには、皮膚がんの予防や治療にも使われています。また、肝臓の働きを助けることから、 新陳代謝をよくして、有害物質や老廃物を血液中に残すことなく排出させます。この有害物質が肌に溜まってくると、シミやたるみの原因となってしまします。


◎下痢

 アーユルヴェーダでは、下痢はピッタが悪化した状態を浄化しようとする正常な反応としています。ですが、アグニ(消化の火)が低下して、上手く消化ができなかったり、体にとって毒とみなされるものや、細菌類の発生で毒素を下痢というかたちで排泄しようとする場合もありますので、まずは医師を受診しましょう。その上で、疾病がなかったり、精神的なストレスが原因だとわかった場合だけ、家庭療法で対処してください。下痢は、脱水症状も引き起こすので、水分補給も忘れてはいけません。

 【対処法】

 ピッタを抑えるラッシー(ヨーグルト+水同量)に生姜を入れて飲む。